国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)
国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)とは、大規模な自然災害が発生しても、人命を守り、社会や経済の重要な機能を維持し、被害を最小限に抑え、迅速に復旧・復興できる「強く、しなやかな国土・社会」をつくる取組です。災害が起きてから対応するだけでなく、災害が起きる前から弱点を把握し、被害を受けにくい国土や社会を計画的につくることを重視します。
背景には、日本が地震、津波、台風、豪雨、土砂災害、火山噴火など、さまざまな自然災害のリスクを抱えていることがあります。さらに、気候変動に伴う水害の激甚化・頻発化や、高度経済成長期に整備された道路、橋梁、上下水道などの老朽化も課題です。災害時に交通網や電力、通信、上下水道などが停止すると、住民生活だけでなく、医療、物流、産業活動にも広く影響するため、インフラと社会システムを一体的に強化する必要があります。
国土強靱化では、堤防や防潮堤の整備、河川の改修、道路・橋梁の耐震化、上下水道施設の耐震・耐水化、無電柱化、避難施設の整備などのハード対策を進めます。同時に、ハザードマップの作成、避難計画や訓練、情報伝達体制の整備、企業の事業継続計画(BCP)の策定支援などのソフト対策も行います。施設を強くするだけでなく、災害時に人や物資が動き、必要なサービスを継続できる仕組みを整えることが重要です。
制度面では、2013年に「国土強靱化基本法」が制定され、国土強靱化を総合的・計画的に進めるための枠組みが整えられました。政府は2014年に初めての国土強靱化基本計画を策定し、2023年7月に改定しました。さらに、2025年6月には「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定され、2026年度から2030年度までの5年間を対象に、重点的に進める施策を定めています。
第1次国土強靱化実施中期計画では、施策の重点化に加え、複数の省庁や組織の取組を連携させること、施設の整備状況や地域ごとの進捗を「見える化」することなどが進められています。国だけでなく、都道府県、市町村、民間企業、地域住民などが連携して取り組むことが重要です。
建設・インフラ分野では、国土強靱化は、予防保全による老朽化対策、橋梁や上下水道の耐震化、流域治水、道路ネットワークの強化、災害時の緊急輸送道路の確保などと密接に関係します。また、ドローン、衛星画像、SAR、センサー、デジタルツインなどを活用して被害状況を早期に把握し、復旧の優先順位を判断する取組も、国土強靱化を支える技術です。
主な効果は、災害による人的被害や経済的損失の軽減、重要なインフラ機能の維持、復旧・復興の迅速化、地域社会の持続性の確保です。一方で、整備や維持管理には多額の費用と時間が必要であり、すべての災害リスクを完全に取り除くことはできません。そのため、地域ごとの災害リスクや施設の重要度を踏まえ、対策の優先順位を決め、整備後も点検・評価・改善を続ける必要があります。

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