予防保全
予防保全とは、道路、橋梁、トンネル、上下水道、建築設備などの施設について、故障や重大な損傷が発生する前に、点検・診断を行い、計画的に補修や部品交換などを実施する維持管理の方法です。
国土交通省は、社会資本の老朽化対策において、損傷が深刻化してから修繕する「事後保全」から、損傷が軽微な段階で対策する「予防保全」への転換を推進しています。これにより、施設の長寿命化、将来の維持管理・更新費用の縮減、災害や事故のリスク低減を目指しています。
予防保全の基本的な考え方は、施設が壊れてから対応するのではなく、劣化の兆候を早期に把握し、適切な時期に対策することです。例えば、橋梁の定期点検でコンクリートのひび割れや鋼材の腐食などを確認し、損傷が深刻化する前に補修することが挙げられます。
予防保全では、定期的な点検・診断を行い、施設の状態を把握したうえで、必要な補修や修繕を計画的に実施します。国土交通省が推進するインフラメンテナンスでは、点検・診断、措置、記録というメンテナンスサイクルを継続し、施設ごとの長寿命化計画などに反映させることが重要です。
事後保全との違いは、対策を実施するタイミングにあります。事後保全は、施設に不具合や損傷が発生してから修繕などを行う方法です。一方、予防保全は、損傷が軽微な段階や不具合が深刻化する前に対策を行い、施設の機能を維持する方法です。例えば、橋梁の塗装の劣化や鋼材のさびを早期に発見して補修することは、予防保全の具体例です。
予防保全の主なメリットは、施設の長寿命化、重大な事故や機能停止のリスク低減、維持管理・更新費用の縮減、将来費用の平準化です。国土交通省の過去の推計では、同省所管の社会資本について、予防保全を基本とした場合、事後保全を基本とする場合と比べて、今後30年間の維持管理・更新費用の累計を約3割縮減できる見込みが示されました。ただし、これは一定の前提に基づく推計であり、すべての施設で同じ削減効果が得られるという意味ではありません。
一方で、予防保全を実施するには、定期点検や診断のための費用、補修計画の策定、技術者の確保、必要な予算の継続的な確保などが必要です。また、損傷の進行状況や施設の重要度によっては、予防保全だけでなく、大規模修繕や更新を検討する必要もあります。
国土交通省は、予防保全への転換をインフラ老朽化対策の重要な柱として位置づけています。詳しくは、国土交通省「社会資本の老朽化対策情報ポータルサイト」や、国土交通白書「社会資本の老朽化対策等」を参照するとよいでしょう。

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