建設発生土のトレーサビリティ

 建設発生土のトレーサビリティとは、建設工事で発生した土砂について、どの工事で発生し、誰が運搬し、どこを経由して、最終的にどこで利用・処理されたのかを追跡・確認できるようにする仕組みです。国土交通省は、建設発生土の不適切な処理や不法な盛土を防ぎ、適正な利用を確保するため、搬出先の明確化やICTを活用した追跡システムの試行などを進めています。

 背景には、建設発生土が搬出元から最終搬出先に届くまでに、運搬業者や一時保管場所など複数の関係者・経由地を通る場合があり、途中で行き先が変わると、実際にどこへ運ばれたのかを把握しにくいという課題があります。適切な場所での利用を確認できなければ、不適切な盛土や環境・防災上の問題につながるおそれがあります。

 制度面では、2024年6月以降、建設発生土の最終搬出先まで確認する仕組みが強化されています。 資源有効利用促進法に基づく制度のもと、対象となる工事では、搬出先の事前確認、再生資源利用促進計画の作成・提出、搬出先からの受領書の取得などが求められます。また、対象工事では最終搬出先の確認記録を作成し、関連書類を工事完了後5年間保存する必要があります。適用条件や例外もあるため、実際の工事では国土交通省の最新資料を確認することが重要です。

 実務上の流れとしては、まず発生元の工事で搬出する土量や搬出先を計画し、搬出先が適切かどうかを確認します。次に、運搬時の記録や受領書などで計画どおりに搬出されたことを確認し、途中で別の場所へ移された場合には、その経路や最終搬出先を追跡します。最後に、最終搬出先での利用・処理状況を確認し、必要な書類を保存します。なお、書類による確認と、位置情報や時刻などを使って運搬経路を追跡するICTシステムは、関連していますが同じものではありません。

 ICTを活用したトレーサビリティシステムでは、運搬車両やICカード、スマートフォンの位置情報・時刻情報などを利用して、土砂が搬出元から搬出先へ移動した履歴を記録します。国土交通省は直轄工事でシステムの試行を行い、搬出経路を把握するための機能や運用上の課題を検討してきました。こうした仕組みを活用すれば、書類だけでは把握しにくい運搬状況を確認しやすくなります。

 また、トレーサビリティと関連する仕組みとして、ストックヤード運営事業者登録制度があります。ストックヤードとは、建設発生土を一時的に保管する場所です。登録制度は、土砂の一時保管や再搬出の過程で適正な取扱いを確保し、最終搬出先の確認をしやすくすることを目的としています。

 一方、建設発生土の情報交換システムは、発生する土の量・土質・時期などを共有し、土が必要な工事とのマッチングを促進する仕組みです。トレーサビリティが「土砂が実際にどこへ運ばれたかを追跡すること」を重視するのに対し、情報交換システムは「土砂を有効利用できる相手先を見つけること」を重視します。両者を組み合わせることで、適正な管理と資源の有効利用を両立しやすくなります。

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