R5(3)BIM/CIMの適用(RCCM問題Ⅲ解答例)

設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから 4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①B IM/CIMの適用により期待される効果
②BIM/CIMの適用にむけて克服すべき課題

以下、解答例です。

BIM/CIMの適用により期待される効果

 今日の我が国においては、老朽化インフラの急増、団塊世代の大量離職と少子高齢化による担い手不足、激甚化する自然災害等の影響より、技術者一人一人の「生産性向上」が喫緊の課題となっている。
 国土交通省等はこの課題への対応の一つとして「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を基盤としたICTの全面活用を推進している。
 その活用例の一つであるBIM/CIMとは調査・計画・設計・施工・維持管理のすべての段階においてBIM/CIMモデルと呼ばれる「3次元モデル」を導入することで、事業全体を通じて詳細な情報を充実・共有し、これを活用すること指す。BIM/CIMの活用によって、次に挙げられるような効果が期待される。

 ①「フロントローディング」:計画から維持管理・サービス提供までの工程の初期(概ね計画~積算)において負荷をかけ、集中的に検討を行うことをフロントローディングと呼ぶ。
 フロントローディングの結果、品質向上や工期の短縮化を図ることが可能となる。具体的には、設計段階において配筋の干渉や施工手順の確認を行うことによる、施工開始後の手戻りの防止等が例として挙げられる。

 ②コンカレントエンジニアリング:製造業等において複数の工程を同時並行で進めることで、プロセス間での情報共有や共同作業を可能とし、開発期間の短縮やコストの縮減を図ることが可能となる。
 具体的には、ミスコミュニケーションによるロスの防止、意思決定の迅速化、作業待ち状態の防止等が例として挙げられる。

 ③迅速な合意形成の実現:社会資本整備では計画から維持管理まで多くの人々と関わるため、合意形成の機会が非常に多い。即ち、事業の実現までの全工程をみるとき、迅速な合意形成が工程の短縮に対して非常に効果的となる。
 3次元モデルを使用することで、正確かつ分かりやすい提案・協議を行うことが可能となり、迅速な合意形成に寄与することとなる。
 上述の多くの人々とは、地域住民や施設利用者といった専門的な知識を持たない人々も含み、そのような人々との合意形成の迅速化に対しては、特に大きな効果が期待される。

BIM/CIMの適用に向けて克服すべき課題

 BIM/CIMの活用によって生産性の向上等が期待できるが、その活用のための環境整備は未だ十分なものではない。
 国土交通省は平成30年9月からBIM/CIM推進委員会を開催しており、BIM/CIMの活用推進に取り組んでいるが、依然下記のような課題が残っている。

 ①プロセス間の連携:初期プロセスで作成したBIM/CIMモデルを、情報を充実させながら後の工程まで利用することから、プロセス間におけるデータの効果的な連携が課題となる。
 3次元測量(航空レーザ測量やUAV写真点群測量等)、3D図面の作成、ICT施工、地質データのビッグデータ化等各プロセスにおける「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は既に大きな進歩を見せており、これら高度なデータを劣化させることなく各プロセスで活用することが課題となっている。
 そのためには各プロセス、即ち関係技術者全員が使用可能となるようなデータ形式の標準化が重用となる。

 ②規格・技術の標準化:新たな技術を正しく扱うには、規格や技術の標準化が必須となる。
 国土交通省は令和2年3月に“BIM/CIM活用ガイドライン(案)”や“BIM/CIMモデル等「電子納品」要領(案)”を、令和4年3月に“3次元モデル成果物作成要領(案)”をそれぞれ発行したが、引き続きBIM/CIMに対応した照査方法、BIM/CIMを活用した照査や検査・積算方法、BIM/CIMを考慮した発注方法等の標準化が課題となっている。

 ③人材育成:BIM/CIMを広く活用するためには、BIM/CIMを扱うことが可能な人材が必要不可欠である。しかし現時点ではそれらに接する機会も少なく、特に中小企業においては個人や一企業の働きで効率的に習得することは現実的ではない。
 いかに業界全体(地方整備局、都道府県および市町村、民間企業)が人材の育成に精力的に取り組むかが課題となっており、取り組みの具体例としてはBIM/CIM事例の充実、BIM/CIM技術者の資格制度の活用、BIM/CIM研修の実装・推進等が挙げられる。

 上記の課題は令和5年に達成が見込まれるものもあり、次なる課題としてはデータ管理を行うプラットフォームの構築やリスク情報の継承等が挙がられてる。BIM/CIM活用の環境が整ったときにその技術を十分に扱えるよう、各技術者は精力的にBIM/CIM活用方法の習得に取り組むことが求められている。

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