ほこみち(歩行者利便増進制度)

 ほこみちとは、「歩行者利便増進道路」の愛称で、道路を歩行者が快適に歩くだけでなく、滞在したり、交流したり、楽しんだりできる空間として活用するための制度です。2020年(令和2年)の道路法改正により創設され、国土交通省が制度を推進しています。

 ほこみち制度が導入された背景には、道路を自動車の通行だけに使うのではなく、地域のにぎわいや魅力を生み出す公共空間として活用したいというニーズの高まりがあります。例えば、歩道にオープンカフェやベンチを設置したり、イベントを開催したりすることで、人が集まり、沿道の商店街や地域経済の活性化につながることが期待されています。

 制度の特徴は、道路管理者が「歩行者利便増進道路」を指定し、その道路の中に「利便増進誘導区域」を設けられることです。この区域では、歩行者の通行空間を確保したうえで、カフェのテーブルや椅子、ベンチなどの施設を設置しやすくなります。また、道路空間を活用する事業者を公募で選定する仕組みがあり、公募で選ばれた事業者は、通常より長い最長20年間の道路占用が可能となります。これにより、民間事業者が長期的な視点で投資や運営を行いやすくなります。

 具体例として、駅前や商店街の歩道にカフェのテラス席やベンチを設けること、歩行者が滞在しやすい空間を整備すること、道路空間をイベントなどに活用することが挙げられます。ただし、どの道路でも自由に利用できるわけではありません。歩行者の安全で円滑な通行を確保することや、バリアフリー基準などの要件を満たすことが必要です。

 ほこみち制度のメリットは、道路空間の有効活用、地域のにぎわいの創出、沿道店舗の売上や地域経済の活性化、歩行者中心のまちづくりの促進です。一方で、歩行者の通行幅の確保、清掃や維持管理の役割分担、騒音やごみへの対応、地域住民や沿道事業者との合意形成などが課題となります。そのため、道路管理者、自治体、民間事業者、地域住民などが連携して運営することが重要です。

 関連する取り組みに「ウォーカブルなまちづくり」があります。これは、居心地がよく歩きたくなるまちなかをつくる考え方です。ほこみちは、その考え方を道路空間の活用を通じて具体化するための制度の一つといえます。


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