R5(5)維持管理と長寿命化(RCCM問題Ⅲ解答例)
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の6つの用語「老
杤化」「地方公共団体」「ライフサイクルコスト」「更新」「予防的措置」及び「新
技術」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は
」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、
②併せて」のいずれ
も可)、4つ以上を用いていればよい。
①社会インフラの維持管理の現状と課題
②社会インフラの長寿命化のあり方について
以下、解答例です。
社会インフラの維持管理の現状と課題
平成24年に中央自動車道笹子トンネル内にて天井版が138mにわたって落下し、9名の死亡者および2名の負傷者が出た。
調査・検討委員会は直接の原因を特定しないものの、“天井版に対する事故前の点検内容や維持管理体制は不十分であったと言わざると得ない”と指摘し、この事件がきっかけで社会資本メンテナンスの必要性が広く認知されるようになった。
国土交通省は平成25年を社会資本メンテナンス元年と位置付け、同年11月には、計画的な維持管理・「更新」等の方向性を示す基本的な計画としてインフラ長寿命化計画を取りまとめ、その後インフラの維持管理が精力的に取り組まれてきた。
道路、港湾、下水道等インフラは国民の安全・安心な生活の確保、経済成長や持続可能な地域社会形成の基盤であり、社会に必要不可欠なものであるが、これらは高度経済成長期頃に整備されたものが多い。このため整備から50年を経過する施設が加速度的に増加することが分かっており、インフラ全体の「老朽化」の進行が問題となっている。
また、インフラの大部分は「地方公共団体」によって管理されているが、その整備・点検には高度な技術が、「老朽化」インフラの維持管理・「更新」には膨大なコストが必要となり、現在のメンテナンス手法のあり方では「地方公共団体」のみの対応では不十分であると考えられる。
即ち、高度な技術や膨大なコストの問題を解決するような、適切な社会インフラメンテナンスの在り方が課題となっている。
しかし、建設業界は現在多くの問題を抱えており、適切な社会資本インフラメンテナンスの実施が困難なものとなっている。
上述の老朽化インフラの急増に加え財政的拘束、若手技術者の獲得不足と熟練技術者の大量離職による担い手不足、激甚化・頻発化する自然災害、地球温暖化への対応を要求する社会的ニーズ等いずれも深刻なものである。
これら重大な問題と向き合いながら、適切な社会インフラメンテナンスを実現することが最重要課題となっている。
社会インフラの長寿命化のあり方について
インフラ長寿命化のあり方として、目下重点的に実施すべき取り組みとして、下記の3項目が挙げられている。
①予防保全への本格転換。従来の維持管理手法は施設の機能が必要最低限なレベルを下回った際に対策を講じる事後保全型であった。
事後保全型に代わり、定期的にまたは変状等が軽微な段階で対策を講じる予防保全型が推奨されるようになった。これは施設建造から維持管理・修繕を経て撤去までの「ライフサイクルコスト」を考慮した場合、予防保全型のトータルコストが小さくなる場合が多いためである。
予防保全管理基準を下回る施設を予防保全型のメンテナンスサイクルに順次移行させ、インフラ全体の管理を予防保全型にシフトさせることが必要となっている。
②「新技術」やICT等デジタル技術の活用による生産性向上。財政的な拘束や人材不足等を原因として、生産性向上による加速化が余儀なくされている。
「新技術」やデジタル技術の活用促進により、技術者一人一人の生産性向上を図るとともに、デジタル化した調査・管理データを集積し、今後のインフラメンテナンスに資するビッグデータの構築が期待される。
③インフラストック適正化の推進。インフラ整備は事業による生産、雇用、消費による短期的な経済拡大の効果を指すフロー効果と、整備された社会資本が機能することによって得られる中長期的な経済拡大の効果を指すストック効果を有している。
ここで、インフラは人口減少等による地域社会の変化や将来のまちづくりの計画変更等を受け、その在るべき姿(最もストック効果の大きい姿)は変化する。
この変化を踏まえ必要性やニーズに応じたインフラの廃止・統合を行うことをインフラストックの適正化と呼ぶ。将来発生するインフラ大更新時代におけるパラダイムシフトの検討によって、インフラストックの適正化を図ることが重要である。
上記3項目をインフラメンテナンス革新の柱とし、併せて基準類の整備、技術者のスキルアップ、維持管理に関するデータの集約によるビッグデータの構築と活用方法の確立に取り組むことで、適切なインフラメンテナンスの確立が早期に実現可能となる。

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