2018年問1~5【コンクリート診断士】

問1:初期欠陥

コンクリートが撃ち込まれてから凝結するまでの間に発生する、コンクリートの沈降が主な原因と考えられるひび割れの発生状況の概念図として、次の(1)~(4)のうち不適当なものはどれか。

正答 3
コンクリートの沈降を原因とするひび割れを絵的に判断することが求められる問題です。頻出ものです。
(1) 柱部に打ち込まれたコンクリートの沈降が完了する前に上部を打設した際、柱部の沈降によってその境目にひび割れが生じます。
(2) 柱部による拘束と、最も拘束を受けない箇所(=柱から最も遠い位置=図柱間中心部)における沈降によってひび割れが生じます。
(3) 部材を水平方向に分離するひび割れが示されています。主にコールドジョイントを原因とするひび割れを表します。従って本選択肢が不適当となります。
(4) コンクリートが沈降する際、セパレータに沈降が拘束されることでその下部にひび割れが生じます。

打設したコンクリートは自重によって沈降します(同時にブリーディング水が上昇し打設面に浮き出ます)。
この時、鉄筋や硬化した柱等部材がその沈降を拘束することで、沈降と拘束の差がひび割れとなって現れます。
概念図を用いた出題が多くみられますが、拘束と沈降をイメージすることで感覚的に判断できると思います。もちろん暗記でも問題ないと思います。
(3)のコールドジョイントは相当数出題されています。択一問題における水平方向ひび割れの殆どはコールドジョイントと判断してもよいとすら感じます(もちろん良くない解き方ですが)。
記述式では一概に言えないので注意してください。土木分野においてトンネルに発生した水平方向ひび割れを問う問題が出題されたことがあります。

問2:初期欠陥

コンクリートにより生じる側圧が大きくなると型枠が変形し、コンクリートに不陸(はらみ)が生じる場合がある。この側圧が大きくなる要因として、次の(1)~(4)のうち最も不適当なものはどれか。

(1) 打ち込み時のコンクリート温度が高い。
(2) 打ち込み時のスランプフローが大きい。
(3) 打ち込み速度が速い。
(4) 打重ね時間間隔が短い。

正答 1
コンクリート打設により発生する側圧は、コンクリートが自立しない・流動性を有することに起因します。自立する泥岩と緩い砂が壁に接する際、砂のほうが壁に作用する土圧が大きくなることがイメージできると思います。
(1) コンクリートは温度上昇に伴い粘性が増します。即ち側圧は小さくなります。従って本選択肢が不適当となります。
(2) スランプフローが大きいことは流動性が大きいことを示し、側圧が大きくなります。
(3) 打ち込み速度が速いと、既に打ち込んだコンクリートが凝結する前に新たなコンクリートを打ち次ぐことなります。結果側圧が大きくなります。
(4) 理屈は(3)と同様です。

問3:コンクリートの配合

書中環境ではコンクリートの凝結が早くなり、コールドジョイントが生じやすい。普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの水和発熱速度と時間の関係には、下図に示すようにC3AとC3Sの水和反応が主要因となる2つのピークがある。コールドジョイントを抑制するために遅延系の混和剤を用いた場合の水和発熱速度の時間変化の概念図として、次の(1)~(4)のうち適当なものはどれか。

正答 2

セメントはC3S(ケイ酸三カルシウム – エーライト)、C2S(ケイ酸二カルシウム – ビーライト)、C3A(アルミン酸三カルシウム – アルミネート相)、C4FA(鉄アルミン酸四カルシウム – フェライド相)と呼ばれる鉱物で構成されていおり、下図のような特徴を有しています。

凝結過程に大きな影響を及ぼすのはセメント中の含有量50%を占めるC3Sであり、遅延剤はこの反応を遅延させることを目的に使用します((1)、(4)が不適当)。また、遅延剤はあくまで水和反応を遅延させるものであり、発熱量を減じません((3)が不適当)。
従って(2)が適当となります。

問4:つり合い鉄筋比

引張鉄筋比がつり合い鉄筋比以下の鉄筋コンクリート梁に、図1に示すように荷重を載荷した。図2は、その時に得られた荷重(P)と中央部のたわみ(σ)の関係を表した概念図である。図2のA~Cで生じている現象に関する、次の(1)~(4)の記述の組み合わせのうち、適当なものはどれか。

正答:2

つり合い鉄筋比とは、圧縮コンクリートと引張鉄筋が同時に許容応力度に達する鉄筋量比を指します。即ちどちらかが極端な強度を有しない理想的な設計のことを指すこととなります。

つり合い鉄筋比と同じ → 引張鉄筋、圧縮コンクリートが同時に許容応力度に達する。
つり合い鉄筋比に満たない → 引張鉄筋が先に許容応力度に達する。
つり合い鉄筋比を超える → 圧縮コンクリートが先に許容応力度に達する。
問題文より当該部材はつり合い鉄筋比以下=引張鉄筋が先に許容応力度に達することとなります。

図2のAでは曲げひび割れが発生します。
A:曲げ側のひび割れの発生に伴い断面積が減少し、中立軸位置は圧縮側に移動します。
B:続いてつり合い鉄筋比以下であることから引張鉄筋が降伏します。
C:その後圧縮を負担するコンクリートが許容応力に達し、圧縮破壊が生じます。

以上より(2)が適当となります。

問5:中性化

化学平衡論の観点からみたコンクリートの中性化(炭酸化)進行のメカニズムに関する、次の医術中の(A)~(C)に当てはまる(1)~(4)の語句の組合わせのうち、適当なものはどれか。

コンクリートに侵入した二酸化炭素は、細孔溶液中で炭酸イオン(CO32-)となり、カルシウムイオン(Ca2+)と反応し、溶解度が小さい炭酸カルシウムとして沈積する。この反応により細孔溶液中のカルシウムイオンが( A )ので、濃度の平衡により固相に存在する水酸化カルシウムが細孔溶液中に溶解する。
ナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)などが多い場合は、細孔溶液が高アルカリ性を維持するため、水酸化カルシウムの溶解が( B )、中性化の進行が( C )となる。

正答:3

コンクリートに存在するナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)等アルカリイオンが、炭酸の存在下において炭酸アルカリを生成します。即ち、細孔溶液中のカルシウムイオンが消費されます。
また炭酸イオン存在化では、溶解度が低い炭酸カルシウムの生成反応が優先的に進行するため、アルカリ量が多ければ中性化の進行が促進されます。

Leave a Comment

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。