初期欠陥①

硬化したコンクリートに現れる初期欠陥は下図のようなものに代表されます。

豆板(ジャンカ)

概要

打設したコンクリートの一部が、セメントペーストやモルタルの廻りの悪さにより生ずる粗骨材が多く集まる空隙の多い不良部分を豆板(ジャンカ)と呼びます。空隙の多さより二酸化炭素や水分の侵入が容易になるため、中性化や発錆を促進します。

原因

発生原因としては打設時の材料分離、締固め不足、セメントペーストの漏出等が挙げられ、配管の下部や薄い壁、階段の角部等打設や締固めが容易でない箇所に生じます。

防止策

豆板の防止策としては、下記のものが挙げられます。
・ワーカビリティが良好な配合とする。
・粒度分布の良いものの使用。
・水密性が高い・堅固な型枠の使用。
・高い位置からの落下や横流しを行わない。
・早期に豆板が発見された場合、再度入念な締固めを行う。

補修方法

補修方法は、劣化の程度によって最適手法が異なり、数を参考に手法を決定します。

コンクリート診断技術’22[基礎編]p.8

程度が軽微であればセメントモルタルの塗布を、程度の悪化に従い不良部分のはつり取りを行います(悪化するほどより多くはつり取る必要があります)。

試験のために

コンクリート診断士試験では、写真を示しその発生原因を問う問題が散見されます。
即ち、「写真の情報よりその原因が豆板であることを理解する」こと+「正しい豆板の発生原因を判断する」ことが求められます。

豆板の発生原因として、最も適当/不適当なものはどれか。
・コンクリートの荷下ろしまでに時間がかかった → 〇 (原因)
・コンクリートの打重ね時間間隔が短かった→ ✕ (原因でない)
といった様子です。

コールドジョイント

概要

新たに打ち込んだコンクリートが、すでに打ち込まれたコンクリートと一体化しない状態となることで生じる不連続面をコールドジョイントと呼びます。不連続面は脆弱・疎であるため二酸化炭素、水分の侵入を容易とし、中性化や発錆を促進します。

原因

すでに打設したコンクリートの硬化が進行することで、新たに打設するコンクリートと一体化しないことが原因となります。即ち、コンクリート配合、養生方法、製造・運搬・打ち込み・締固め等多くの施工等の影響を受けます。

強度・耐久性に及ぼす影響

コールドジョイントは不連続面の存在による強度低下と、疎な部分の存在による耐久性低下を引き起こします。

強度に及ぼす影響として、コンクリートの振動限界として定義されている凝結始発に達する時間より早い時間に強度低下が生じるとされています。

耐久性に及ぼす影響として、水分、ガス、塩化物侵入の容易さによる耐久性低下が挙げられます。これが中性化・発錆・中性化フロントの発生を促進します。

防止策

特に有効な対応策としては、既に打ち込んだコンクリートが固まる前に打設することが重要であり、運搬時間制限や正しい打設方法・締固め方法の遵守が挙げられます。
運搬時間の制限は下図に示される通りです。

コンクリート診断技術’22[基礎編]p.11

補修方法

コールドジョイントの補修方法は次の2つです。

①縁切れがはっきり認められないもの
 → ポリマーセメントモルタルの刷毛塗り
②縁切れしているもの
 → ひび割れ補修に準じた補修(Uカット工法等)

資格試験に向けて

水密性の減少や短期の強度低下が生じないことなどの基本的な内容が問われます。少々面倒なのは始発時間(貫入抵抗値3.5N/mm2)・終結時間(貫入抵抗値28.0N/mm2)の暗記で、始発時間は再振動締固めを行う限界の目安となります。

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