建設DX
建設DX(建設デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術やデータを活用し、建設業の業務だけでなく、仕事の進め方、組織、働き方、サービスのあり方まで変革する取組です。国土交通省は、インフラ分野のDXを通じて、インフラの整備・管理の高度化、安全・安心の実現、インフラ利用者へのサービス向上を目指しています。単に紙の書類を電子化したり、ソフトウェアを導入したりすることではなく、デジタル技術を前提に業務や仕組みそのものを変えることが重要です。
背景には、建設業の担い手不足や高齢化、長時間労働、インフラの老朽化、災害の激甚化などがあります。限られた人員で社会インフラを整備・維持管理していくためには、従来の人手に依存した方法を見直し、データ共有や遠隔作業、自動化などによって生産性と安全性を高める必要があります。
建設DXの具体例として、まず測量・設計では、ドローンやレーザースキャナーによる3次元測量、BIM/CIMによる3次元モデルの活用があります。施工では、ICT建設機械や自動施工、遠隔操作を導入することで、現場作業の効率化や危険作業の削減を図ります。施工管理では、ウェアラブルカメラを用いた遠隔臨場、タブレットによる検査記録、AIによる画像解析などを活用し、移動や書類作成にかかる負担を減らします。維持管理では、センサーやドローン、点検データなどを活用し、インフラの状態把握や補修時期の判断を高度化します。
国土交通省の主要な取組の一つが「i-Construction」です。2016年度に始まったこの取組は、ICT施工などを活用して建設現場の生産性を高めることを目指してきました。さらに2024年には「i-Construction 2.0」が策定され、建設現場の自動化を一層進める方針が示されました。i-Construction 2.0では、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上させることを目指しています。
i-Construction 2.0の柱は、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つです。施工のオートメーション化では、建設機械の自動化や遠隔施工を進めます。データ連携のオートメーション化では、測量・設計・施工などの情報をつなぎ、データの受け渡しや確認作業を効率化します。施工管理のオートメーション化では、出来形や品質、安全などの確認をデジタル技術で効率化します。これらは建設DXのうち、特に建設現場の生産性向上と省人化に重点を置いた取組と整理できます。
また、建設DXは工事現場だけに限られません。行政手続のオンライン化、インフラ情報のデータベース化、3次元都市モデルの活用、防災情報の可視化なども含まれます。例えば、都市の3次元モデルと浸水想定などの情報を重ね合わせることで、災害リスクの把握やまちづくりの検討に役立てられます。このように、建設DXは建設会社の業務改善だけでなく、インフラの計画・整備・維持管理から、利用者への情報提供までを対象としています。
主なメリットは、生産性の向上、作業時間や移動時間の削減、安全性の向上、品質の確保、技能やノウハウの共有、維持管理の効率化などです。一方で、導入費用や人材育成、異なるシステム間のデータ連携、情報セキュリティ、中小企業への普及などが課題になります。技術を導入するだけでは十分ではなく、業務手順や組織体制、関係者間の役割分担まで見直すことが重要です。

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