R6(4)BIM/CIMの適用
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の8つの用語「3次元モデル」「電子納品」「BIM/CIMの活用目的」「生産性向上」「フロントローディング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「データ連携」及び「プロセス改革」のなかから4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用語は「」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用いていればよい。
①BIM/CIMの適用により期待される効果
②BIM/CIM の適用にむけて克服すべき課題
以下、解答例です。
BIM/CIMの適用により期待される効果
今日の我が国においては、熟練技術者の大量離職と参入する若年層の減少による担い手不足、激甚化する自然災害、建設から50年を経過する老朽化インフラの急増、働き方改革による就業(労働)時間の制限、SDGsの推進による多方面からのニーズへの対応等、多くの問題に直面している。
このため技術者一人一人の「生産性向上」が喫緊の課題となっており、国土交通省はこの課題への対応の一つとして「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を基盤としたICTの全面活用を推進している。
その取り組み一つにBIM/CIMの活用がある。BIM/CIMモデルと呼ばれる「3次元モデル」を導入することで、計画・調査・設計・施工・維持管理といった事業全体を通じて詳細な情報を充実・共有し、各段階で活用することが可能となる。BIM/CIMの活用によって、次に挙げられるような効果が期待される。
①「フロントローディング」:計画から維持管理までの全体工程の初期(概ね計画~積算)において負荷をかけ、集中的に検討を行うことを「フロントローディング」と呼ぶ。
事業全体を通じて活用するモデル作成時のミスや不整合を防ぐことで手戻り等を防止し、品質向上や工期の短縮を図ることが可能となる。
②コンカレントエンジニアリング:製造業等において複数の工程を同時並行で進めることをコンカレントエンジニアリングと呼ぶ。
BIM/CIMモデルを用いることでプロセス間での情報共有や共同作業が可能となり、開発期間の短縮やコストの縮減を図ることが可能となる。例としては、ミスコミュニケーションによるロスの防止、意思決定の迅速化、作業待ち状態の発生防止等挙げられる。
③迅速な合意形成の実現:社会資本整備では計画から維持管理まで多くの人々と関わるため、合意形成の機会が非常に多い。即ち、事業全工程をみるとき、迅速な合意形成が工程の短縮に対して非常に効果的となる。3次元モデルを使用することで、正確かつ分かりやすい提案・協議を行うことが可能となる。
BIM/CIMの適用に向けて克服すべき課題
BIM/CIMの適用に向けて克服すべき課題としては、次のようなものが挙げられる。
①調査・設計成果の品質確保:品確法の改正(令和元年6月)により、調査・設計の品質確保の重要性が改めて強調されており、これは事業の上流に位置する調査・設計成果の品質を確保することで公共工事の品質を確保することを目的としている。
この考えは事業全体を通じて初期に作成したモデルを活用するBIM/CIMにも共通する。即ち、BIM/CIMの十分な活用のためには、調査・設計成果の品質確保が課題となる。有効な取組としては三者会議や合同現地踏査の実施、業務スケジュール管理票や条件明示チェックシートの活用、適切な工程管理による照査時間の確保等が挙げられる。
②規格・基準類の標準化:令和5年度には(小規模を除く)全ての公共工事におけるBIM/CIMが原則適用とされ、測量・調査、概略設計、予備設計においても3次元モデルの活用が推奨されている。このため、建設コンサルタントのBIM/CIMへの取り組みはもはや必須のものとなっており、広く基準等を標準化することが求められている。
建設コンサルタント協会の生産性向上WGや国土交通省のBIM/CIM推進委員会が精力的に対応しており、今後はBIM/CIMによる新たな積算・監督・検査手法の確立、BIM/CIM活用効果の高い契約方式の検討等が課題となっている。
③人材育成および環境整備:BIM/CIMを広く活用するためには、BIM/CIMを扱うことが可能な人材が必要不可欠である。しかし現時点ではそれらに接する機会は限られており、特に中小企業や一個人の働きで効率的に習得することは現実的ではない。
このため、いかに業界全体が人材の育成に精力的に取り組むかが課題となっている。また、3次元モデル等を取り扱うソフトやシステムは、従前のもと比較して高コストとなっており、その導入促進も課題の一つである。取り組みの具体例としてはBIM/CIM事例の充実、BIM/CIM技術者の資格制度の活用、ICT技術の活用分に対する部分払いの適用等が挙げられる。

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