R4(2)カーボンニュートラルの実現に向けて(RCCM問題Ⅲ解答例)
設問
設問①、②について、1200~1600字の間で記述しなさい。次の7つの用語「地球温暖化」、「再生可
能エネルギー」、「グリーン成長戦略」、「イノベーション」、「グリーン社会」、「デジタルトランスフォ
ーメーション(DX)」、「働き方改革」の中から4つ以上を用いて記述しなさい。記述文中で用いた用
語は「 」で囲んで記述すること。
用語は①、②の全体を通して(「①のみ」「②のみ」「①、②併せて」のいずれも可)、4つ以上を用い
ていればよい。
①カーボンニュートラルの現状と課題
②カーボンニュートラルの実現に向けての対応のあり方
以下、回答案です。
カーボンニュートラルの現状と課題
近年、地球上の平均気温の上昇が著しく、2011年~2020年の世界の平均気温は19世紀後半と比べて1.09℃高かった。1850年以降の地球の温暖化はかつて前例のないほどに進行しており、状況が改善されなければ更なる気温上昇が確実視されている。
ここで、近年の異常気象は激甚化・頻発化しており、水害や土砂災害の誘因となる降雨に関しては、200mm/dayの大雨や50mm/hの短時間強雨の発生頻度の増加傾向が確認されている。このような大雨・短時間強雨の頻発化の背景には、「地球温暖化」の影響が大きいと考えられており、気象庁は数値シミュレーションを用いたイベントアトリビューションによって、近年大きな被害を生じさせた異常気象が、一定程度地球温暖化の影響を受けていると評価した。即ち、地球温暖化を防止することは自然災害が多発する我が国の国土やインフラを守ることにつながり、もって国民の安心・安全な生活の確保に資することとなる。
また、近年コンクリートライフサイクル全体の温室効果ガス排出量の多さも注目されており、今後老朽化インフラの更新等を控える建設業界も環境への配慮が強く求められている。
地球温暖化防止の概念の一つにCO2排出と消費をバランスさせるカーボンニュートラルが挙げられ、COP26終了時点で150以上の国・地域がカーボンニュートラルを宣言している。我が国は2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減、さらに2050年にカーボンニュートラルを実現、即ち「グリーン社会」を実現することを宣言した。
また、それに伴って気候変動への対応を経済成長のきっかけと捉え、積極的な対策に取り組む「グリーン成長戦略」を2021年6月に具体化した。これは経済構造や社会経済に、気候変動への対応を盛り込んだ改革により経済と環境の好循環の発生を期待するもので、人流・物流・土木インフラ産業、航空機産業、船舶産業等14分野において取り組むものとされている。
2030年度の排出ガス削減率は家庭部門66%、業務その他部門51%、運輸部門35%とされており、排出量削減に向けた取り組み強化が求められている。
カーボンニュートラルの実現に向けての対応の在り方
わが国においては民生・運輸部門が我が国の二酸化炭素排出量の約50%を占めており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、これら部門における対策が喫緊の課題とされている。建設業界においては暮らしに密着する住まい、建築物、交通・物流、まちづくり等の観点からの脱炭素化実現に向けて、次に示す対応とその在り方が求められている。
①民生・運輸部門の「イノベーション」。民生部門の脱炭素化に関しては、建築物のライフサイクルまでを考慮した評価が定着しつつある。LCCM住宅の導入促進や長期にわたり使用可能な住宅、炭素貯蔵効果の高い木材の利用拡大が重要となる。運輸部門の脱炭素化については、自家用乗用車のガス排出量が多いことや宅配便輸送の増加を受け、公共交通機関の利用推進、次世代自動車やEV充電設備の整備、MaaSへの取り組み促進等が重要となる。
②「再生可能エネルギー」の利用。土木の分野においては既存のインフラ等を活用した再生エネルギーの導入・利用拡大を図ることが重要となる。高さ制限がある空港周辺においてその広大で平坦な土地を利用した太陽光発電の導入、下水道において地域バイオマスの集約化や下水熱交換施設の整備、港湾に設置する洋上風力発電設備の整備等の推進が重要となる。
③脱炭素型ライフスタイルへの転換。家計消費のカーボンフットプリント削減に向けて、これまでの日常生活のあり方を二酸化炭素排出削減の観点から見直すことが重要である。特に住まいと移動の観点から”無駄を避ける”、”方法を変える”、”環境配慮技術を活用する”の視点を取り入れることが効果的とされる。
近年生じた問題としては、2020年度の家庭部門の炭素総排出量が増加したが、これは「働き方改革」や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進による在宅勤務の普及、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、家庭における光熱・水道の消費が増加したためと考えられている。このようにエネルギー消費の面を考慮した在宅勤務や住まい方を検討する段階に至っている。

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