道路における土砂災害(のり面・斜面)

 道路におけるのり面・斜面で発生する土砂差異がは、大きく「崩壊」「落石」「地すべり」「土石流」の4つに分類され、更に下図のように再分類化されます。

 【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.10】

 そして、これらへの対策工としては下図に挙げられる工法となります。

【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.11】

のり面・斜面崩壊の発生形態

(ⅰ)浸食、崩落
 乾湿、凍結、雨食等により表面がはく離するかガリーができるもの、斜面のオーバーハング状を呈する部分が崩落するもの、亀裂や節理に富んだ岩が崩落するものがある。
(ⅱ)表層崩壊
 表土が滑落するもの、岩の表層が風化等に伴って滑落するもの、流れ盤構造や岩盤の割れ目に沿って岩が滑落するものがある。
(ⅲ)深い崩壊、地すべり性崩壊
 軟弱で固結度の低い地層からなる斜面や不安定要因を持つ斜面が地下水の上昇によって大規模に崩落するもの、流れ盤や断層・破砕帯等の地質構造を有する岩体が大規模に滑落するもの、受番の斜面や割れ目の発達した岩の斜面が前方に転倒するのものがある。
(ⅳ)岩盤崩壊
 上記(ⅰ)~(ⅳ)を含め岩盤斜面における大規模な岩体の崩壊原書を総称して岩盤崩壊という。岩盤崩壊は、地下水の凍結融解や風化等により、亀裂が開口したり岩盤が細片化したりすること等で発生する。発生形態は、大きく「崩落」「岩すべり」「トップリング(転倒)」「バックリング」に分類される。
【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.12~13】

落石の発生形態

 落石は、以下のように分類される。
(ⅰ)抜落ち型(転石型)落石
 岩塊、玉石、礫とマトリックス(礫間充てん物)からなる地質の斜面でみられ、マトリックスが地表水や地下水によって浸食され、落石の徒もととなる岩塊等が表面に浮き出し、ついにはバランスを失って抜け落ちるタイプである。
(ⅱ)はく離型(浮石型)落石
 割れ目の多い硬い岩よりなる斜面でブロック状に岩がはく離して、落石となるタイプと、硬い岩と柔らかく風化・浸食に弱い岩との互層よりなる斜面でオーバーハングとなる部分ができて、この部分がはく離するタイプがある。
(ⅲ)その他の落石
 風化・浸食で残留した尾根上の巨礫等が、支持部の風化や浸食、あるいは地震等により、不安定化して発生する落石がある。
【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.15~16】

地すべりの発生形態

 地すべりは、応力開放、地下水等の影響により発生する。突発的に発生する表層崩壊と異なり滑りが緩慢であり、以下の4つのタイプがある。
(ⅰ)岩盤地すべり
 移動土塊は、比較的新鮮な岩盤よりなり、一般に地すべり土層の厚さが大きい。
(ⅱ)風化岩地すべり
 移動同会が風化岩からなるもので、岩盤地すべりが風化してこのタイプに移行したものを含む。
(ⅲ)崩壊土地すべり
 移動土塊は主として礫混じりの土砂によって構成されている。風化岩地すべりがさらに 風化されてこのタイプに移行したものを含む。
(ⅳ)粘質土地すべり
 移動土塊の大部分は礫混じりの粘土で構成され、風化岩地すべりや崩積土地すべりがさらに風化されてこのタイプに移行したものを含む。
【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.17】

土石流の発生形態

 土石流は、以下のように分類される。
(ⅰ)渓床体積土砂礫の流動化による土石流
 急こう配の渓床上に堆積している土砂礫に豪雨や急激な融雪等によって水が供給されて流動化する。
(ⅱ)山腹崩壊土砂の流動化による土石流
 山腹崩壊土砂が斜面を落下する間にその構造が壊れ、水と混合されて流動化する。この種の土石流は斜面崩壊と区別することが困難な場合がある。
(ⅲ)天然ダムの崩壊による土石流
 崩壊土砂が渓流を一時せきとめて天然ダムをつくり、水が天然ダムを越流侵食して、または天然ダムが崩壊して土石流となる。
(ⅳ)地すべり土塊の流動化による土石流
 主に高含水比を持った地すべり土塊が流動化して土石流となる。
【道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成21年度版 p.19】

Leave a Comment

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。