サンゴ礫混り土
沖縄県内の漁港・港湾のボーリングでサンゴ礫を混じる緩い細粒土層が確認されることがあります。これは波浪の影響が少ないリーフ内で浸食されたサンゴの遺骸(サンゴ礫)を混じりながら、緩く土層が堆積することで形成されます。このような土層はサンゴ礫を混じることで採取時に乱れを生じ、力学的性質を過少に評価します。
この土層の適切な評価のため、「サンゴ礫混じり土調査・設計マニュアル」に基づいて強度試験が実施されていました。そして現在では「サンゴ礫混じり土調査・設計マニュアルの改訂について」に基づいてサンゴ礫混じり土の評価を行います。
①サンゴ礫混じり土の挙動はサンゴ礫が少ない場合は礫間を充填する細粒分が、サンゴ礫が多い場合は礫構造が支配することとなります。 → 挙動が不明瞭
②サンプリング時にサンプラーの刃先にサンゴ礫が当たることによって試料に乱れが生じます。 → 室内試験の精度が低い
上記の理由により、サンゴ礫に関しては通常と異なる評価を必要とし、そのフローは「サンゴ礫混じり土調査・設計マニュアルの改訂について」内の下図フローに従います。
フローを左側から確認します。
① 粗粒分SG≧80% : 砂質土のためφ評価となり、三軸試験はCDとなります。
② 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C<30 → 正の間隙水圧発生しない : 砂礫が少なく、粘土分も少ないため砂礫よりの中間土扱いとなります。中間土が示す挙動が砂質土的か粘性土的かを判断するために簡易三軸CU試験を行います(これは②~⑤共通です)。簡易三軸CU試験の結果より、正の間隙水圧が生じないときは砂質土としてCD試験を行います。対し、間隙水圧が発生するときは透水係数の小さい粘性土として評価するため三軸CUbar試験を行います。
③ 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C<30 → 正の間隙水圧発生 : 間隙水圧が発生するため、間隙水圧の計測を要します。このため実施する試験はCUbarとなります。
④ 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C>30 → 塑性指数Ip<30 → ダイレーションあり : 砂礫が少なく粘土分が多いもののIpが小さいことから、粘性土よりの中間土となります。ここで簡易三軸CU試験よりφ評価かc評価を区分します。ダイレーションによる負の間隙水圧が発生してしまう場合には、間隙水圧の影響を除くために排水条件(即ちCD試験)とします。
⑤ 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C>30 → 塑性指数Ip<30 → ダイレーションなし : 砂礫が少なく粘土分が多いもののIpが小さいことから、粘性土寄りの中間土となります。ここまでは④と同様です。簡易三軸CU試験の結果よりダイレーションが発生しない場合、簡易三軸CU試験で適切に評価が可能なため、簡易三軸CU試験を実施します。
⑥ 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C>30 → 塑性指数Ip>30 → 【標準】 : 砂礫が少なく、粘土分が多く、塑性指数が大きいことから粘性土として評価します。ここで、通常のサンプリングではサンゴ礫の影響による乱れが生じることから、UU試験では過小評価することとなり、簡易三軸CU試験を実施します。
⑦ 粗粒分SG≧80% → 粘土分含有率C>30 → 塑性指数Ip>30 → 【高品質】 :砂礫が少なく、粘土分が多く、塑性指数が大きいことから粘性土として評価します。ここで、高品質サンプリングでは試料の乱れが発生しないため、UU試験による評価が可能となります。
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