副振動
副振動の発生が考えられる場合には、副振動の卓越周期、振幅、流速等について十分検討する必要がある。
潮汐、高潮、津波以外に周波数重病から数十分の長周期の振動が、湾(港)内で発生することがある。この現象は副振動(「セイシュ」あるいは地域により「よた」「網引き」等)と呼ばれ、サーフビート、長周期のうねる、高潮、潮流等により発生すると考えられている。漁港内における副振動の周期は、港内の広さ及び形状や波浪条件により異なるが、数分程度であることが多い。副振動が発達すると、波高が小さいにもかかわらず副振動の節の部分で強い流れが生じ、漁船の航行、係留に支障をきたすことがある。また、高波浪時に港外の発生振動と港内の固有振動がほぼ一致した場合には、船舶の係留索の切断、船体動揺による転覆、係留施設の冠水及び陸上施設の浸水が発生する等大きな被害が生じることもある。
外郭施設、係留施設、水域施設等の建設後に副振動対策を講じることは困難な場合が多いことから、施設配置計画段階において泊地の形状等を十分に検討する必要がある。特に、来襲波の特性(波高、周期等)や海底勾配、港内の水深、港形並びに港口前面での砕波等により、副振動特性が大きく異なることから、長周期振動が問題となっている海域では、現地調査等に基づき原書を十分把握した上で、適切な数値解析や推理模型実験を行い、副振動対策を検討することが望ましい。
漁港・漁場の施設の設計参考図書 – 30 , 31 – (水産庁 2015年版[上])
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