2018年問36~40【コンクリート診断士】

問36:ひび割れ

 写真 (A) ~ (D) に示す鉄筋コンクリート造建築物に発生したひび割れに対して、以下のように対策の目的が設定されている。設置した目的に対して選定する主な対策として、次の (1) ~ (4) のうち、適当なものはどれか。

正答:3

 写真等より適切な対策工法を選択する問題です。コンクリート診断士試験のひび割れ対策工法はコンクリート診断技術(日本コンクリート工学会)に従い、下図の通りとなります。主にひび割れ幅および使用材料より正解を導きます。

 上表の「ひび割れ部の挙動」とは、乾湿繰り返し、気温や日光による膨張・収縮の程度を指します。このため寸法の小さい部材や日光等の影響を受ける部材は挙動大、その他の部材は挙動小と判断します。挙動が大きいひび割れにはひび割れ追従性を有する補修材料を用いる必要があります。

A:比較的部材寸法の小さい庇であるため、ひび割れ部の挙動は大きいと判断します。このため、ひび割れ追従性のないポリマーセメントモルタルを用いることは不適当です。
B:Aと同様にひび割れ追従性のないセメント系注入材の使用は不適当です。
C:部材寸法が比較的大きいためひび割れ部の挙動は小さく、ひび割れ幅が0.5mmであるため、上表よりエポキシ樹脂系注入材orアクリル樹脂系注入材or注入用ポリマーセメントを用いた注入工法が適切な工法となります。即ち、本選択肢が正答となります。
D:補修工法では構造性能の回復は期待できません、このため不適当です。

 上表を覚えられれば最善ですが、特に次の2点を覚えることが重要です。
①ひび割れ追従性
②対策工法は「~0.2mm」「0.2~1.0mm」「1.0mm~」で区分される。
 また、Dは他の3選択肢と問われる内容が異なるため、落ち着いて問題を解くことが求められます。

問37:電気防食

 電気防食を適用した鉄筋コンクリート構造物の定期点検を実施したところ、復極量が300mVであった。図中の黒丸 (●)は、通電電流量と定期点検時の鉄筋のインスタントオフ電位をプロットしたものである。今後の電気防食の管理として、復極量が100mV近くになるように通電電流量を調整することとした。調整後の通電電流量とインスタントオフ電位の変化を示した概念図における (1) ~ (4) の矢印のうち、適当なものはどれか。

正答:1

 電気防食の通電電流量や電位を問う問題です。復極量を300mVから100mVに調整する、即ち通電電流量は減少方向に移動します。また、通電を行うことで電位は貴(+)側にシフトします。
 従って(1)が正答となります。

問38:補強材

 鉄筋コンクリート構造物の補修・補強材料として用いたれる高弾性炭素繊維、アラミド繊維およびガラス繊維の材料特性を示した概念図の (A) ~ (C) に該当する繊維種類の組み合わせとして、次の (1) ~ (4) のうち、適当なものはどれか。

正答:2

 編集中・・・

問39:ライフライクルコスト

 塩害環境下にPCT桁橋を建設し、予防保全として表面被覆を施すこととした。下表に維持管理のシナリオを示す。この構造物の建設後50年間の累積費用を示す。次の (1) ~ (4) の図のうち、適当なものはどれか。なお、社会的割引率は2.0%とする。

正答:4

 維持管理累積費用を算出する問題です、年に1問は出題されると思ってください。

 現在の工事費用をY(現在)、X年後の工事費用の現在価値をY(X年後)とした場合、Y(X年後)は下記の通りとなります。
    Y(X年後)=Y(現在)/(1+0.02)X
 このため補修時の費用は社会的割引率のため、グラフ上はその額を下回ります。

 ①社会的割引率を考慮しないグラフを作成する。
 ②社会的割引率を考慮する(①で作成したグラフより将来の金額を小さくする)。
 この運びで概ね正答が判断できます。そもそも難易度の高い計算ではありませんが、時間短縮のためには有効となるかもしれません。

 笹子トンネル天井崩落事故をきっかけに、構造物の老朽化やその建て替えにかかる膨大なコスト等の問題が顕在化しました。このため、建設時のみの経済性の比較でなく、建設から維持管理・補修、撤去、新設等の累積コストを比較する手法が用いられるようになりました。

問40:構造計算

 支店の3等分点に集中荷重Pがそれぞれ作用するPC単純桁において、偏心配置した外ケーブルを緊張して士官中央に鉛直力Xを作用させ、集中荷重Pによる最大曲げも0面とを20%低減することとした。対策後の曲げモーメント図として、次の (1) ~ (4) のうち、適当なものはどれか。
 ただし、鉛直力作用後、PC単純桁はクリープ変形しないものとする。

正答:4

 編集中・・・

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