擁壁の要求性能

道路土工 擁壁工指針(H24.7) p.42~45

(1) 擁壁の設計に当たっては、使用目的との整合性、構造物の安全性について、安全性、供用性、修復性の観点から、次の(2)~(4)に従って要求性能を設定することを基本とする。
(2) 擁壁の要求性能の水準は、以下を基本とする。
 性能1:想定する作用によて擁壁としての健全性を損なわない性能
 性能2:想定する作用による損傷が限定的なものにとどまり、擁壁としての機能の回復が速やかに行い得る性能
 性能3:想定する作用による尊書が擁壁として致命的とならない性能
(3) 擁壁の重要度の区分は、以下を基本とする。
 重要度1:万一損傷すると交通機能に著しい影響を与える場合、あるいは離接する施設に重大な影響を与える場合
 重要度2:上記以外の場合
(4) 擁壁の要求性能は、想定する作用と擁壁の重要度に応じて、上記(2)に示す要求性能の水準から適切に選定する。

ここで重要となるのは、「擁壁の要求性能」と、それを決定する要素である「必要とされる性能」「要求性能の水準」「擁壁の重要度」の3項目です。

①「必要とされる性能」は
 安全性:想定する作用による変状によって人命を損なうことの無いようにするための性能
 供用性:想定する作用による変形や損傷に対して擁壁により形成される道路が本来有すべき交通機能や避難路、救助・救急・医療・消火活動・緊急物質の輸送路としての機能を維持できる性能
 修復性:想定する作用によって生じた損傷を修復できる性能

②「要求性能の水準」は
 性能1:想定する作用によって擁壁としての健全性を損なわない性能(=安全性、供用性、修復性全てを満足する)
 性能2:想定する作用による損傷が限定的なものにとどまり、擁壁としての機能の回復が速やか意に行い得る性能(=安全性、修復性を満足する)
性能3:想定する作用による損傷が擁壁として致命的とならない性能(=安全性を満足する)

③「擁壁の重要度」は ”擁壁が損傷した場合の道路の交通機能への影響と、隣接する施設等に及ぼす影響の重要性を総合的に勘案して定めるもの” とされています。

上記の項目の下、擁壁の要求性能は想定する作用に対して、重要度ごとに次のように分類されます(道路土工-擁壁工指針 p.44)。
 

 常時の作用(自重、載荷重、土圧等)および降雨の作用が生じた際に必要とされる性能は、安全性・供用性・修復性全てです(雨が降ることで供用性等が喪失してはたまりません)。このため、重要度に係わらず要求性能は1となります。
 地震動に対する要求性能に幅があるのは、” 地震動の作用に対する擁壁の要求性能を一律に設定することは困難な面があること、擁壁を含めて膨大なストックを有する土工構造物の耐震化には相応のコストを要すること等を考慮した ”ことによります。

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